第2回 現場適応上の留意点~いかに活かすか

計装(2004年4月号)

第2回 現場適応上の留意点~いかに活かすか

今回はいよいよ画像処理システムを現場に導入するときに検討するべきポイントを、当社の経験も交えて説明します。

あまり欲張らない

画像処理による目視検査の自動化を考えた場合、出来る限り検査したい項目を絞ることをお奨めします。もし複数の項目が必要な場合には、その数分のシステムを導入する位の気持ちで検討を始めた方が、後々理想と現実のギャップに苦労することも少なくなります。目視検査の場合は検査項目毎に検査員が視点を切り替えて幾つもの検査を同時にかつ連続的に行うことができます。しかし、自動化(システム化)する場合には、自由に視点を切り替えることなど、検査時間に余裕があり、しかも高額でも良いという条件でも揃わなければ到底実現できる代物ではありません。

自動化する場合、それぞれの検査項目毎にシステムを検討する分業が基本となります。余り欲張りたくさんの検査項目を一つの検査システムに期待しても、結果的にインラインでは耐えられないシステム(高額、検査時間増大、システム巨大化による複雑・不安定に陥りやすいシステム)となり、期待を裏切る結果となります。このような不幸な結果にならないためにも、始めから欲張らずに自動化を検討した方が賢明です。但し、同一の照明・カメラ・レンズで画像が取り込めるような場合には複数の検査をすることもできます。

設置環境を予め考慮して

それでは余り欲張らない画像処理検査システムを実際のラインに導入することを考えてみましょう。先ずは導入の形態としては、大まかに以下の3つが考えられます。
  1. 新設ラインに新規に導入する
  2. 既設ラインに新規に導入する
  3. 既設ラインの一部に追加導入する
新設ラインに導入する場合は、他の2つの方法に比べれば装置に対しての制約は一番少なく、装置設計の自由度が高くなります。例えば装置の大きさや対象物の搬送方法などを調整できる要素が残っています。極端な例では、検査時間が生産速度より遅い場合には並列で2式組み込んで速度を補う方法なども検討できる余地があります。

次の既設ラインに検査システムを新設する場合には、物理的な設置スペースや検査時間に余裕があれば新設ラインと同じように装置設計の自由度は高くなり、比較的性能が出やすい設計ができます。但し、実例として検査装置を設置するスペースがなく、搬送装置を改造しなければならないこともありましたので注意が必要です。

最後の既設ラインの一部に追加導入する場合は、他の2つの場合より設置スペース等の環境的な制約を大きく受けるため、検査システム側の設計自由度が低くなり、場合によっては性能が保証できないケースもあります。

このように導入する形態によっては画像検査装置導入に弊害がある場合がありますので、予め検討段階から設置環境を考慮する必要があります。

判定の基準

目視検査の自動化をする場合、特に難しいのは数値化が難しい検査の判定基準を決めることです。例えば、色むら検査などがよい例です。一般に計測して数値として表したものが長さ(mmとか)や面積(mm2とか)などであれば判断の基準は決められやすいのですが、色むら検査などでは実際に目視検査においても判断の基準が曖昧なので、定量的な判断をするのが難しくなります。むらというのはなんとなくボヤッとしていたり、全体からの違いでしか判断できないため、ミクロ的な数値をサンプリングして比較しても判断がつきません。また、むらは現れ方に関して、塗布装置の性格上現れる大まかな流れはつかめますが、むらの形状自体には再現性や規則性がないため、むらの基準等を作成して比較判断できないのが実情です。この場合、現れそうなムラの形状ごとに検出処理を考え、各々のシステム上で計測した判断基準で判定を行う必要があります。

このように目視検査の時のような見た目での判断は画像検査装置では行うことができません。この辺はできる限り判り易くシステムを構築するのが作る側の務めでもありますが、導入を考えている方も判断基準が少し特異でも受け入れるくらいの気構えが必要と思います。

評価サンプルが命

どの画像処理メーカも同じとは思いますが画像検査装置の導入を考えるには、評価用のサンプルを事前に用意していただき、目的とした検査ができるかを調査することが必要となります。しかし、ただ検査の対象となるサンプルはどんなものでも良いと言うわけではなく、次のようなポイントに注意して用意頂けると、実際にインライン化した場合でも比較的安定した結果を出すことができると思います。

評価サンプルに必要な条件:
検出したい欠陥の全ての種類をなるべく揃える。但し、量が多くなる場合には代表的なサンプル、特徴的なサンプル(形状、仕様等の違いが大きい物)でも可能です。

欠陥の度合いが何段階に分かれているサンプル。限度サンプル(良/不良の境界もしくは欠陥が確認できる限界レベル)は特に必須。この限度サンプルが検出出来て初めて検査装置として意味をなします。また、欠陥のランク分け等を行う場合は欠陥の度合いが段階的になっている評価サンプル群が必要です。

サンプルが特殊な状態でインライン上で供給される場合にはその状態を再現するための部材も必要です。例えば、出荷用のトレイ上にサンプルがセットされているような場合には、そのトレイも必要になります。ただサンプルがあまりに大きいものの場合には別の評価方法を検討する必要があります。

評価が進み、検出のメドがたってくると、更に「じゃぁこれも検出できる?」と言うことが多々あります。このような場合、再度同じような評価が必要となってしましますので、なるべく初期の段階で必要な検査項目として明示することが必要です。

予算も忘れないで

検査装置をつくる場合、市場にかなり出回っている製造装置や検査装置などは価格が決まっていますので、予算化もそう難しくはありません。しかし、これまで自動化をしていなかった部分を新たにシステムを開発して導入する場合には、金額的な想定が難しいため、初期の段階ではあまり金銭的な部分を表面に出さないで話が進む場合があります。この場合の最悪な事態は、いざ評価結果が出て、それに対応した費用を計算したら、当初考えていた金額とかけ離れている(当然高い)場合で、これはどうにもなりません。金額面についても予め考慮しておく必要があります。

シンプルが一番

検査の自動化をする場合、当然機械ですから、人間が行っていた検査を全て確実に処理することはできません。やはり得手不得手がありますので、これだけは検査したいということをハッキリさせておくことが肝心です。また、多くを望むことでの弊害も考えられます。その一番の弊害は価格が鰻登りに上昇することです。価格が上昇することで元々は導入出来た装置も予算の都合で導入できなくなるケースもあります。多機能を望むが故にシステム全体が複雑となりソフトや機構に無理がかかったり、処理時間が増加したりとあまり良い結果を得ることは出来なくなります。やはりシステム/装置はシンプルが一番です。複数の検査を一つのシステムで行いたいという気持ちも分かりますが、その場合にはそれぞれシステムを分け、分業した方が確実に動く装置が出来ます。システムを分けると複数のシステムになりますが、そこは一括管理するPCを準備することで解決できます。

次回からは実際導入したシステムを例に、目視検査の自動化のすすめをご紹介します。

目視検査の自動化

第1回 : プロローグ~画像処理技術のすすめ
第2回 : 現場適応上の留意点~いかに活かすか
第3回 : 現場事例にみる実践ソリューション(1)
第4回 : 現場事例にみる実践ソリューション(2)
第5回 : 現場事例にみる実践ソリューション(3)
第6回 : 画像処理技術の進化と新たな可能性

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