第3回 現場事例にみる実践ソリューション(1)

計装(2004年6月号)

第3回 現場事例にみる実践ソリューション(1)

今回から、当社が実際現場に導入した画像処理システムを例に、直面した課題に対していかに解決したかを紹介します。今回は色ムラ検査システムについてです。

色ムラ検査システム

色ムラ検査システムはガラスなどの塗装ムラを検出する装置で、縦/横状の色ムラ、ピンホール等、様々な欠点を検出します。(図1)

カラーフィルターと呼ばれる液晶パネル用部材の検査も可能です。カラーフィルターとは、液晶ディスプレイでカラー表示するための部材でRGBのパターンが入っています。カラーフィルターの製造工程でRGBそれぞれの塗料を塗装するうえで色ムラが発生する場合があります。

目視検査の問題点

従来から行われていた人による目視検査では色ムラ検査特有の問題が存在します。

ムラというのはなんとなくボヤッとしていたり、全体からの違いでしか判断できないため、判断基準を数値化するのが難しく、比較判断が困難な検査になります。そのため複数の検査員が同じ判断を下せるようにOKかNGかの基準となるサンプルを準備し判断を統一しようとしますが、最終的には検査員毎の判断に任されるので、検査員毎のバラツキが出てしまいます。

また、同じ検査員でも何時間も検査を続けることによる疲労やそのときの体調によってどうしても検査にバラツキが出てしまいます。検査の種類が機械部品の取り付け不良の検査などであればそういったバラツキは比較的少ないのに比べると、色ムラの検査は難しい検査といえるでしょう。ですから自動化することは目視検査の問題点を解決し、検査員による判断のバラツキを抑えることができ、品質の安定化といったメリットを享受することができるのです。

目視検査にいかに近づけるか

目視検査を自動化する場合、人間の目に相当するのはカメラになります。当然、人間の目とカメラの「目」は同じではないので必ずしも同じように見ることはできません。目視検査では人間があらゆる角度から視点をかえていろいろな見方をして判断することもありますので、単純にカメラでは捉えられないものが見える場合もあるでしょう。逆に、人間の目では見えないのにカメラの「目」を通すと見えてしまう過検出(オーバーキル)というのもあります。

実際に、目視検査の結果ではNGとしたムラが、自動化した検査システムでは検出できなかったといったこともありました(図2)。この場合、ムラが1つの場合ではNGに極めて近いOKレベルのムラだったのですが、そのムラが狭い範囲に複数あった場合、人はNGと判定できたのに検査システムはOKと判断していました。

このときには検査システムの判定項目を追加して対処しました。ムラを単体で判断するのではなく、近くに同じようなムラあるかどうかも判断するようなロジックを追加して解決しました。ただし、必ずしもこのようにうまくいくとは限りません。カメラの「目」を人間の目と一致させようとすること自体がなかなか難しいことなのです。

多様な検査項目

色ムラ検査システムでは、色ムラだけでなくピンホールの検出も行っています。しかし、色ムラ検出とピンホール検出というものは本来、相反するものなのです。

ムラというものは不定形なので、なだらかなムラを検査するのであればマクロ的な視点で判断することが要求されます。逆に、ピンホールはミクロであればあるほどより微小な欠点を検出することができます。人間の目は自動的に拡大/縮小して見ることができますが、オフラインの検査装置の場合は別として、インラインの検査装置でその両方を検査するのは至難の業です。

当社が導入した例では、製造工程でそれほど微小なピンホールができないラインだったため、ムラ検出を前提としたカメラ分解能で対応することができました。本来検査を自動化する場合はそれぞれの検査項目ごとにシステムを導入する分業が基本ですが、この場合は予算や設置環境を考慮して1つのシステムで両方を検査しました。今回はたまたまそれで解決できましたが、本来はそれぞれ別に検査すべき欠点なのかもしれません。

検査タクト(検査時間)との兼ね合い

インラインの検査装置では全数検査が基本ですから検査タクトが非常に重要になります。当然ながら生産速度と同じ速度で検査を行う必要があります。

生産速度が速い工程では搬送速度も速くなり、検査も早く行わなくてはなりません。ただ、特にムラ検査は微妙な違いを検出しなければならないものなので、あまり搬送速度を速くし過ぎると、ムラ検査の検出性能に影響を及ぼすことが多々あります。その場合、検査部分は低速に搬送することを検討する必要が出てきます。つまり検査システムの手前でコンベアを減速し、通過後に加速させるようにして、前後の加減速を考慮して搬送ラインに余裕を持たせた設置環境が必要になってきます。

次回も実際導入したシステム事例を交えて、目視検査の自動化のすすめをご紹介します。

目視検査の自動化

第1回 : プロローグ~画像処理技術のすすめ
第2回 : 現場適応上の留意点~いかに活かすか
第3回 : 現場事例にみる実践ソリューション(1)
第4回 : 現場事例にみる実践ソリューション(2)
第5回 : 現場事例にみる実践ソリューション(3)
第6回 : 画像処理技術の進化と新たな可能性

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