第4回 現場事例による実践ソリューション(2)

計装(2004年8月号)

第4回 現場事例による実践ソリューション(2)

今回も前回に引き続いて、当社が実際現場に導入した画像処理システムを例に、直面した課題に対していかに解決したかを紹介します。今回はちょっと変わった農産物の自動選別システムについてです。

自動選別システム

自動選別システムは一般に長さ、幅(太さ)、曲がりなどを検出して、予め設定された条件に基づいて対象物を選別する信号を出力するシステムです。搬送装置上に流れてくる選別対象物の画像を搬送装置と連携して撮像し、その画像を解析して外観計測を行います。

農産物の外観検査

農産物の自動集出荷場では、生産者の方々が持ち込まれた農産物を規格別に選別し箱詰させて、各市場へ出荷されます。

農産物の選別は大まかには外観品質と内部品質により決定されます。選別要素として多くの項目が複合されています。

外観品質内部品質その他
・大きさ
・形
・色づき
・欠点(キズ)
・甘さ
・酸っぱさ
・熟し具合
・重量

野菜類は主に外観品質により選別され、果物類は外観品質と内部品質により選別されます。外観品質の検査に画像処理が用いられます。

多様な検査項目と目視選別による判定との違い

当社が実際現場に導入した選別システムとしては、きゅうり・ねぎ・にんじん等の野菜類とバラ・カーネーション等の花卉類があります。

検査項目としては長さ、茎径、曲がり、S曲がり、太さ、太さの差、つる面積、首曲がり、断面長などがあり、人工的な規格品と違い自然が生む生産物だけあって多種多様になっています。

当然長さや太さに関しては、ある測定ポイントについて計測できますが、形状に関しては定量化されていないため規格品(標準品)からの偏差をとり、その偏差の大小により選別という形になります。但し、いくら選別方式を規定してもやはり感覚的な判断との相違が発生してしまうことは否めません。システムとしては規格サンプルを用いたユーザ調整機能がありますので、その相違を如何に小さくするか(なくすことは出来ない?)は利用者とシステムとの妥協点を探すことになります。

搬送ラインの問題点

農産物の選別システムの問題点として、搬送ラインに付着した汚れ(葉、土、樹液、水滴など)による誤計測がありました。当然予め評価サンプルでテストし、誤計測しないようにしていたのですが実際は難しく、特に導入当初は切り分けが大変でした。結局、照明や偏光フィルタの選定や調整で対処したり、画像処理ソフトウェアのロジックで被計測物と付着物を分離する処理を追加して対処したりしました。このあたりは農産物だけでなく、部品の製造工程でも同じことが起こりますので良い経験になりました。

あと品種切り替えについてですが、通常選別システムには品種切替機能がありますので、規格が共通の品種であれば良いのですが、規格が違い撮像機器を調整する必要がある場合(例えば野菜と花卉)には、1ライン1品種で考えた方が手間も間違いも少なくなります。当然、品種が多い場合はライン数を増やすことが必要になります。

ラインスピードとの勝負

インラインの選別装置では当然処理速度が要求されます。農産物の場合でも、花卉類などは最大寸法1,200mmのものを1時間に8,000本、野菜類は 12,000本(3~4本/秒)という時も最盛期にはあり、その状況で0.5mmの欠点を検出しなければならないことがあります。

これはカメラの分解能と画像処理速度のトレードオフとなります。自動選別の画像処理システム手順としては撮像→前処理→特徴抽出→計測→判定→仕分になりますので、高分解能のエリアセンサカメラを用いた場合、処理側での処理量も多くなりますので、処理を分割して複数の画像プロセッサで並列実行させるといった工夫が必要になります。

自動選別の勘所

選定基準の定量化、これが自動選別のキーワードです。自動選別では選別基準を定量化し、選別後の品質を安定させることが必要です。従来では回避することが難しかった検査員毎の検査結果のバラツキを極力無くし、安定した検査を行う必要があります。これができれば検査のバラツキを大幅に押さえることが可能となり、検査結果の安定化が望め、最終的に検査対象物の品質の安定化が行えます。

また人では全数選別するのに何人も必要でしたが、少ない要員で安定的な選別が可能となり、結果製造工程の能力を最大限生かすことが可能になります。

トレーサビリティの必要性

本誌の2月号でも食品トレーサビリティの特集がされていましたが、食品は特に安全性が厳しく問われていて、トレーサビリティが重要視されています。農産物に関しても残留農薬、産地偽装等へ対応が必要であり、消費者の信頼や安心の確保が生産者の死活問題にもなっています。

自動選別システムも以前は単純に選別し仕分けするラインコントローラ的な機能が主な役目でしたが、最近は外観検査の結果を内部品質の結果と共にデータ保存・管理し、消費者から問合せできるシステムが必要になってきています。

インターネットを介して品質に関する情報を提供することにより、消費者と生産者の顔の見える関係を構築でき、消費者の信頼確保へとつながると考えられます。そうして提供される情報が付加価値として認められれば、それがその商品の差別化・ブランド化につながってきます。

外観検査といっても単に仕分けだけに留まらず、トレーサビリティを始めとした上位システムとの連携が不可欠になってきています。

次回も実際導入したシステム事例を交えて、目視検査の自動化のすすめをご紹介します。

目視検査の自動化

第1回 : プロローグ~画像処理技術のすすめ
第2回 : 現場適応上の留意点~いかに活かすか
第3回 : 現場事例にみる実践ソリューション(1)
第4回 : 現場事例にみる実践ソリューション(2)
第5回 : 現場事例にみる実践ソリューション(3)
第6回 : 画像処理技術の進化と新たな可能性

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