第6回 画像処理技術の進化と新たな可能性
計装(2004年12月号)
第6回 画像処理技術の進化と新たな可能性
今回はいよいよ最終回となります。シリーズの最後に画像処理技術の進化と新たな可能性についてご紹介します。コンピュータハードウェアの進化
産業分野に限らずここまで画像処理が普及した要因は、画像処理に必要な機器の高速化と低価格化がここ数年同時に達成され続けているからではないでしょうか。画像処理は膨大なデータ量を処理する必要があるため、処理が高速であればあるほど有効になります。以前はこの膨大な量の画像データを処理するためには専用のマイコンボードやオリジナルに設計した処理回路を搭載したハードウェアを製作する必要がありました。しかし近年では一般市場に出回っているパーソナルコンピュータに搭載されているCPUが凄いスピードで進化を遂げ非常に高速で安価になりました。画像処理業界でもこのCPUを使わない手はないでしょう。これを使用することにより画像処理専用のロジック(回路)がなくとも(画像入力(キャプチャー)部は除く)この高速なCPUとソフトウェアでそこそこ高速な画像処理システムを構築することが可能となりました。信頼性や後々のことを考えなければ10万円前後のパソコンでもかなり高速な画像処理が行えます。
このようにコンピュータ関連ハードウェアの進化(高速化、低価格化)により、画像処理応用のシステムが身近になりました。
技術の進歩
ハードウェア的なトピックスとして注目しているのはギガビットイーサネット、USB2、IEEE1394の高速シリアル通信です。特にギガビットイーサネットとUSB2は最近のパーソナルコンピュータには標準インターフェイスとして実装されています。これまではカメラと画像処理コンピュータとはビデオ信号(NTSC)やデジタルインターフェイス(EIA644、カメラリンク他)が採用され、専用の画像入力(キャプチャー)ボードが必要でした。データも高速に転送するために専用のインターフェイスが必要でした。
しかし、ここ数年通信技術の発達とともにシリアル通信の高速化が進み、ギガビットイーサネットやUSB2のインターフェイスでも大量の画像データを高速に転送することが可能となってきました。このことは画像処理システムの用途によっては、これらシリアルインターフェイスのカメラを利用することができるようなり、画像入力ボードを搭載する必要がなくなります。これは画像処理システムを構築する上でコストダウンに大きく貢献します。用途によってはと書きましたが、正確なタイミングや高速取込などの機能が必要な用途に関しては、まだまだ専用の取込ボードが必要なためです。
画像処理技術の進歩
画像処理のアルゴリズムも日々進化を遂げ、より高精度な、より効率的な、より効果的な手法が開発されています。各大学、各会社の研究者が多数論文を発表しています。しかしこれらの最新アルゴリズムが即産業分野に適用できるかというと、まだまだ時期尚早ですが、各画像処理ベンダーの努力により徐々に使用できる環境が整ってくると考えます。画像処理は産業分野だけではなく、私たちの暮らしにもかなりのペースで普及しております。例えば車に乗る方はご存知と思いますが、高速道路や幹線道路で通過車両を見張っているITS(Intelligent Transport Systems)、自動運転に一歩近づいたドライバーサポートシステム(車線ライン検出による車線維持アシスト機能)などもカメラで撮影した映像を画像処理して実現化しているシステムです。そのほか衛星画像、医療用画像、顕微鏡を使ってのバイオなど、よりダイナミックな開発、製品化がなされています。
産業分野における画像処理の今後
最近の産業向け画像関連システムのニーズについて簡単にご紹介します。当社としては検査分野での画像処理システムの開発が多くを占めますが、最近の引き合い内容を見ますと、非常に難しい要求が多くなってきています。当然簡単なものは既に導入し尽くされたという感じがあり、残りは自動化の難しい検査工程ばかりではないかと思います。
目視検査を例にとるなら、人間は連続性や統一性は弱い(人は休み無く検査できない、個人差がある等々)ですが、検査としてはほぼ完璧です。いくらカメラが良くなっても、いくらCPUが速くなっても到底実現できるものではありません。
そこで今後このような難しい工程の自動化を考える場合、検査などで多くのチェックポイントが存在する場合には全てが出来なければ意味がないとは思わず、出来るところから取り組むことも自動化に向けて必要ではないでしょうか?完璧なものを初めから望んでも一向に自動化は進みません。
「千里の道も一歩から」です。
最後に
6回にわたって目視検査の自動化について、当社がこれまで経験した内容を踏まえて紹介してきましたが、画像処理技術はハード・ソフト共確実に進歩してきています。しかし検査対象物のニーズも大型化・複雑化してきています。そういう状況の中で検査を自動化することによって更に品質を向上させ、生産効率を改善し原価を低減させることが画像処理技術者の願いでもあり目標でもあります。
この連載が同じ目標を持った読者にとって少しでも参考になったならば幸いです。是非、画像処理の検査も検討してみて下さい。
目視検査の自動化
・第1回 : プロローグ~画像処理技術のすすめ
・第2回 : 現場適応上の留意点~いかに活かすか
・第3回 : 現場事例にみる実践ソリューション(1)
・第4回 : 現場事例にみる実践ソリューション(2)
・第5回 : 現場事例にみる実践ソリューション(3)
・第6回 : 画像処理技術の進化と新たな可能性
製品情報
・パネル自動検査システム
・マーク自動検査システム
・塗装色むら等欠点自動検査システム
・微小ワーク自動検査システム
・自動選別システム
・広視野対応形状検査システム
・Windows Embedded OS(組込OS)











