26年4月号 子どもにスマホを持たせた日、ちょっとだけ心配になって、準備した話
著者:PACIFICサイバーセキュリティ研究所 所長
公開日:2026年4月21日(火)
コラムテーマ:日常とセキュリティ
子どもにスマホを持たせる日が来ると、便利さと同時に、少しだけ心配も増えるものだと思います。わが家でもこの春、中学生になった子どもにスマホを持たせました。
きっかけは、ひとりで移動する場面が少しずつ増えてきたことでした。連絡が取れる安心感は大きく、親としては「持たせてよかった」と感じる一方で、「何でも自由に使える状態で渡して大丈夫だろうか」という不安もありました。
そこで、わが家では最初に“便利に使うための準備”をしました。
まず、アプリのダウンロードは子どもだけではできない設定にしました。新しいアプリを入れようとすると私のところに通知が届き、承認しないとダウンロードできません。少し厳しいように見えるかもしれませんが、スマホは連絡手段であると同時に、インターネットの入口でもあります。知らないうちに年齢に合わないアプリを入れてしまったり、課金につながったり、トラブルに巻き込まれたりすることを考えると、最初の段階では「見守りながら使う」くらいがちょうどいいと感じています。
次に、家の中での利用ルールも決めました。
- 使ってよいのは夜8時まで
- 使う場所はリビングだけで、自分の部屋には持ち込まない。
このルールは、セキュリティ対策というより生活習慣の話に見えるかもしれません。ですが、実はとても大事だと思っています。
スマホのトラブルは、怪しいメールや不正アプリのような“わかりやすい危険”だけではありません。長時間使いすぎること、ひとりで閉じた空間で使うこと、誰にも相談せずに困りごとを抱え込んでしまうこと。そうしたことも、家庭の中では十分に気をつけたいリスクです。リビングで使うようにすると、困ったことがあったときにすぐ声をかけやすくなりますし、親も使い方の変化に気づきやすくなります。
一方で、スマホを持ったことで広がった良い面もありました。うちの子はアコースティックギターが趣味で、コード譜をスマホでよく見ています。練習も本当によくしていて、親から見てもかなり上達しました。以前なら紙で印刷したり、家のパソコンを開いたりしていたものが、手元ですぐ見られるようになったことで、好きなことに取り組むハードルが下がったようです。
こうした様子を見ていると、スマホは「危ないもの」ではなく、「使い方しだいで生活を支えてくれるもの」なのだと改めて感じます。だからこそ、最初から完全に禁止するのではなく、少しずつ使い方を覚えていくことが大切なのだと思います。
セキュリティというと、難しい設定や専門知識が必要に思えるかもしれません。でも、家庭で最初にできることは案外シンプルです。
「勝手にアプリを入れられないようにする」
「使う時間と場所を決める」
「困ったらすぐ相談できるようにする」
それだけでも、安心感はかなり変わります。
スマホを安全に使うために大切なのは、完璧に制限することではなく、無理なく続けられるルールと見守りの形をつくることです。私たちは日々、企業のセキュリティリスクと向き合っていますが、家庭でできる備えにも、実は同じ考え方が基本にあります。利用ルールを決めること、使い方を見守ること、困ったときにすぐ相談できるようにしておくこと。そうした小さな備えの積み重ねが、安心して使える環境につながっていくのだと思います。
新年度、子どもにスマホを持たせるご家庭も多い時期です。便利さの前に、ほんの少しだけ「安心の準備」をしておくことが、日常のセキュリティを支える第一歩になるのかもしれません。